秤屋会長のひと言

ヒット商品の作り方・・・テレビ連続小説を見て vol.4

2019/03/13

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おりしもテレビドラマでも同じような騒ぎがはじまっております。満を持して発売されたまんぷくラーメンと全く同じ内容の即席ラーメンが堂々と売り出されて、同じ店頭に並び、同じ時期に20円のまんぷくラーメンに対して、15円の安値で売りだされているのです。悪夢のような場面です。当然、主人公たちはいきりたち、抗議に押し寄せますが、偽物メーカーは全然動じません。どころか「世の中模倣なくして成り立たない」みたいな弁解を堂々としてくる始末。先にも書いた通り特許が承認される前の食い逃げ方針です。 こんな事が果たしてできるのでしょうか?主人公たちが長年かかって、やっと望むものが完成し、特許申請までこぎつけたにも関わらずです。原因はまんぷくラーメン製造現場の従業員が高給で引き抜かれ、その秘密を洗いざらい明かしてしまったのです。

では、わが社の場合はどうであったかということです。既に一機は納入済みで実働に入っております。その工場には、日本全国から見学希望が入り対応しているという事はわかっております。さては機密漏れはそこからという事になりますが、「技術の公開は一切していない」という回答でした。 今回A社へ納めようとしている機械群の全体価格は、億をこえる商談で、その一部に弊社の計量機が含まれている訳ですが、B社の特許申請が一足早く、いきなり商談がストップ状態になってしまっている訳で、プラントメーカーA社も、弊社計量システムを欠いては売り物にならない訳で「どうしてくれるんだ!」いう騒ぎになりました。

当然弊社も茫然自失に近い状態になります。そこでB社の特許出願を調べてみると、弊社の商談開始時期より1週間あたり後に申請されております。機密漏れの原因は、先に納入済みの工場向けに用意した仕様書から発生している事が分ってきました。それには迂闊にも受注前提の見積もりという事で、詳細な工程・効果について書き込んであります。そのスペックがユーザーの技術陣より相手側のプラントメーカーの手に渡っていたのです。B社の特許申請を見ますと、弊社の仕様書を、そのままほとんど替えずに申請しているという事が判明いたしました。この件に関しては弊社の特許申請はプラントメーカーA社に任せておりました。A社にその点を問いただすと、「もちろん特許の申請は出している。」という回答があり、間合いを置かず「先願があり拒絶通知がきた。」というではないですか!先願主義は日本特許の特質で、アメリカのように発明者に権利を認める方式と異なります。ともあれ弊社より3か月前に申請していたという事です。

改めて思いました。こんなに身近な所で、すごい弱肉強食の世界があるのだという事を。 不用意に弊社の技術情報を渡してしまった商談相手の技術陣もこの結果には驚き、まさかの事態に陳謝しきりでした。しかし我々方も既に発売しておきながら、のんびり申請している様では、怠慢というほかなく、黙らざるを得なかった。

プラントメーカーB社は、特許の申請で先手を打ち、弊社を含めプラントメーカーA社のプロジェクトを実現不能へと追い込んだということです。大変な実行力です。それだけにこの計量システムの威力が大きく、B社にとって危機感が大きかったという事がわかります。しかしながら、特許申請前に弊社は導入実績なるものがあり、先使用権が認められ、弊社に限って、その計量システムを作ってもよいという事になりました。しかしこれから先、全国に展開する予定のプラントメーカーA社にしてみれば、B社に先を越された格好となり泥沼に足を突っ込むような前途になります。 しかし、ここに思いかけぬ事態が発生いたします。

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会長プロフィール

早川静英

早川 静英
35年生まれの戦前派。早稲田大学政経学部で経済学を専攻。

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略歴

60年中日新聞社入社。
67年(株)守隨本社入社。三県下に限られていた販域を全国区へ展開
74年同社常務就任:機械式はかりから電子式はかりへの転換にいち早く取り組み、成功。新製品を次々と発表。次いで85年よりプラザ合意後の円高を利用し、海外との交流を開始。海外優秀製品を日本市場へインプットし、吊り秤市場ではTOPのシェアを掌握した。
90年同社社長就任
以後、移動式計量機で産業界の物流システムに貢献した。
2016年代表取締役会長に就任

社長プロフィール

早川 亘
72年生まれのロスジェネ世代。南山大学法学部法律学科で法律学を専攻。

略歴

94年名古屋短資(現セントラル短資)入社。日銀直下の短期金融市場で90年代後半の金融危機を体験。
99年(株)守隨本社入社。
2014年同社専務取締役に就任。
2016年同社社長就任
営業から製造まで幅広く業務をこなす傍ら、語学力を活かして海外との交流を積極的に拡大するとともに、2011年のISO9001認証取得時にはQMS構築及び責任者を担当、2015年の指定製造事業者認定取得時には責任者を務め、自社の競争力強化に努めている。