私の八月十五日、part5
昨年の八月十五日を機にこのテーマで書き始めましたが、その動機はなぜこのような負けるとわかっていて無謀な戦争に踏み込んだのかという疑問を自分なりに承知し ておきたいという心からの願望からです。ついに1年かかりになりました。
しかし、つい最近刊行されたー2019年6月20日、林千勝著「日米開戦陸軍の勝算」・・副題・・『秋丸機関』の最終報告書」を偶然本屋さんで見つけ、読んで びっくり、腰を抜かすほどという衝撃的な内容でした。
これまでせっせと明治以来の我が国の意思決定に致命的な欠陥が存在していたことを書き連ね、統帥権の悪用が日本を破滅させたと断じておりました。しかしこ の本を読むと天と地がまさにひっくり返されるというのはこのことかという稀な体験となりました。この本を読んだ限りではこれまでの私の認識はローソク の火を吹き消すように無にきしました。その点このブログを読んでいただけた皆様には誠に申し訳なく、お詫び申しげなくてはなりません。
統帥権を悪用したのは陸軍で、満州事件に始まる侵略戦争は関東軍の独走で始まり時を経るに従い中国戦争に拡大し泥沼化させてしまったというのがこれまでの通説で、海軍は太平洋戦争開始に慎重で反対していたということになっております。
ところがこの著述によると、真逆になります。陸軍は十分とはいかぬものの、勝算ある事前計画を持ち、もしその計画が海軍の妨害がなく協力すれば達成の可能性が十 分にあったという証拠となる計画書が見つかったというのです。なぜ今までそれが世にでなかったというところですが、終戦時に徹底して消滅の憂き目にあい、また連合 軍も発見次第に秘匿焼却したと言われております。それがなんと戦後この時期に及んで、思いもかけぬ東大の文書管理室にただ1つ残っていた資料を著者が偶然手に入れ たということです。
結論的に総括すると、海軍悪玉、陸軍善玉、という思いもかけぬ逆転内容には全く驚くばかりです。この研究機関の報告書は日米開戦の年の6月にまとめられております。続く。