秤屋会長のひと言

マローンのはなし

ある日の深夜、2時過ぎごろ、突如、、狼の独特の遠吠えが三度ほど聞こえて目が覚めました。なんと我が家の二階で、その声がしているではありませんか!


となると我が家の飼い犬、マローン以外に考えられません。このまま放っておくと隣近所に迷惑が掛かると思い、朦朧とした意識のまま、階段をよろけ上がり、犬を見つけ、声をかけようとしました所、どうもいつもと雰囲気が違うぞと直感しました。窓のカーテンをくぐって、外を見下ろし、また吠え始めました。口先を垂直に上げて、口を半開きにして吠える、あの狼連中と同じ吠え方です。これは何かあると思い、カーテンをはねて下を見下ろしましたところ、お向いの家から、紺色の野球帽をかぶったジーパン姿の男が、脇に何かを抱えて飛びだして来るであはりませんか!街路灯の光ではそれ以上はわかりません。

やはりドロボーだ!これからは私の出番なのですが,咄嗟には、何をしてよいのか動作が決まらず、窓を開けて"こラー"といってもだめだなと考えているうち、賊はどんどん走って逃げていきます。向かえの家は静まり返っている、深夜で大きな声を出せない。自分の姿は寝巻きのまま!とにかく窓を開けて乗り出してみると、50メートルぐらいのところに、紺青のワンボックスカーが止まっており、それにに飛び乗って、すぐに角を曲がって消えてしまいました!

この後は、お決まりの自慢話となります。読みたくなければここでクリックを。

我が家のマローン君は、ビーグル犬と芝犬との一代雑種で、中型犬のクラスで、お嬢様でございます。

我が家へ御輿入れになったのは生後2ヶ月ぐらいのときでしょうか。家族全員が一目ぼれするほどの器量よしで、写真を見て即決となりましたいきさつがございます。以来,わが家庭内でお育てもうしあげてまいりました。

現在は7年経過して、分別くさい、中年のおばさんとなっております。それはさておき、このマローン君は、滅多に吠えたことがない。一体自分を何だと考えているのか,飼い主も良くわからないぐらいでした。年に1~2度吠えればよいという、町内きっての良識派であります。たまに吠えると家族が珍しがって褒めまくるのです。しかし、番犬としてはどうも?といったところでした。

それがなんと、深夜の咆哮ときました。

まことにこの後がよくありません。その家にもお犬様がいらっしゃるのですが、一言も咎めないでシンと静まり返っていたのです。夜があけて、8時ごろ、お向かえの家のご主人がバツの悪そうにご挨拶にいらっしゃいました。こちらもあまりそのことには触れずにそこそこの挨拶を交わしておきました。

その日は、日曜日の朝でしたが、10時ごろ、警察が来て、様子を尋ねて行きました。若い警官も犬が好きと見えて、マローン君の頭をニコニコしながら、なぜましたが、人見知りの強いマーロンは、嬉しそうな様子はありませんでした。これならどうやら番犬も勤まりそうだなというのが結論となりました。



後日談:

おむかえのの犬は、メスのダルメシアン。白い体に、黒の斑点が散らばっていて、足があきれるほど長い。軽快に歩く姿など、もう、魅力たっぷり。我が家のマローン君より一回り大きく逞しい。百科事典で調べるともともと、東欧のダルマチア原産で、軍用ないし、番犬として飼われているそうです。それがどうして自分の家に入ったドロボーを撃退できなかったのかということです。後日、すぐ隣の理髪店へ行き、このことが話題になりました。うちの犬は賢いなどと、のろけて盛り上がっておりましたが、理髪店の主人は、いわく、あの犬は、実は、目が良く見えず、耳も相当遠いらしいとのこと。エーと驚くと、実は、買った所に抗議したら、引き取りますということになったらしいのですが、そのあとのことを思うと、返すに忍びないと家族は判断してそのまま飼う事にしたそうですという。

なんとやさしい思いやりでしょう。挨拶に見えたときも一切障害のことを言わず、犬をかばってみえたのだとわかりました。高揚した気分はすっかり冷めて理髪店を出ました。


35年生まれの戦前派。早稲田大学政経学部で経済学を専攻。

略歴
60年中日新聞社入社。
67年(株)守隨本社入社。三県下に限られていた販域を全国区へ展開
74年同社常務就任:機械式はかりから電子式はかりへの転換にいち早く取り組み、成功。新製品を次々と発表。次いで85年よりプラザ合意後の円高を利用し、海外との交流を開始。海外優秀製品を日本市場へインプットし、吊り秤市場ではTOPのシェアを掌握した。
90年同社社長就任
以後、移動式計量機で産業界の物流システムに貢献した。
2016年代表取締役会長に就任
2021年代表取締役会長を退任

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