秤屋会長のひと言

小泉改革と計量法(2)

前回に述べた、矛盾について、あまりにもレベルが低すぎる論理展開ではないか?行政府の中枢にいる官僚のレベルがこの程度かと思うと国の前途が思いやられる。揚げ足取りみたいな論議は一応中止して、現在の事情を補足させていただくと、計量行政の中核となる機関が、経産省の中に有ります。それが、計量行政室といいます。実はこの機関の、全員が、今年春、人事異動で更新され、全く別の分野から配置転換されてきたばかりのいわば、計量関係については、素人集団なのであります。其処へ降って湧いたのがこの改革の号令です。これは大変です。2~3ヶ月の猶予で、膨大な計量法をマスターすることは不可能。しかも期待されていることは、その改善点を探り、有効な施策をひねり出すなどと、計量法を自由自在に操れる人でも困難な命題であります。となれば、まず規制解除ありきという発想で、目に着くもの片っ端から解除、解除としていけば、自分の職責は果たされるという短絡的な思考が横行しているのではないかという懸念が濃厚であります。"民"でもできることは民でという小泉首相のスローガンは太宗として承認できるとしても、各論ではかなり内容的に問題点が多い。民でできても官がしなければならない業務まで、丸投げで行こうとすることは、小泉改革への悪乗りというより仕方ないことになりそうです。
例えば、非自動計量器への規制緩和はユーザーの自主管理へということになりそうであるが、複雑な計量法をマスターして、自己の保有する計量器の合法性を維持する方策については一部の大企業を除いて、全く無力といえる。早晩、市場には、非合法化した計量器が溢れ、商取引に混乱不正が生ずることは明らかであります。その言い訳として、電子技術、生産技術のレベルが格段に向上しているといいます。だから滅多なことはないという判断らしいが、それは規制のある現状での判断で、果たして自主管理=野放しということになった場合は、現在のようなレベルに維持できるかかどうかは発議している行政の担当者はご存じないと思う。しかもWTOに加盟して、国際法規との整合性を図るためにこれまで、10数年かかって、特定計量器などの整備作業を続けてきた現状からして、それを真っ向から否定するなど、官僚にできることでは有りません。


こうして書いているところへ、経産省の計量行政室より、文書が届きました。第1WGの方向性(骨子案)と称するものです。これは、有力メーカー?である我々も参加して、先ほど10月11日に霞ヶ関の、経産省会議室にて協議された、案件に対する、回答案として、示されたものです。
それによりますと、最初の、非自動はかりの特定計量器を、規制からはづすという方針は、跡形もないぐらいに消去されております。おそらく取り消しせざるを得ないように、納得させられたと思います。誤りを正すことにはばかることなかれという良識が働いたようであります。その他、自治行政上、困難と思われる計量管理に関する民間委託については、もし、不正が行なわれたとしても、耐震構造設計ほどの深刻な影響がでないと言うところは明かですので、大いに推進することに異議はありません。ただ、やはり、姉歯事件のようなことはおきうると覚悟はしておく必要はあると思います。
多分これなら、もうこれ以上の論議は必要ないと考えますので、この見出しでの原稿は終了いたしたいと思います。続報はまた適当に出さしてもらいます。




35年生まれの戦前派。早稲田大学政経学部で経済学を専攻。

略歴
60年中日新聞社入社。
67年(株)守隨本社入社。三県下に限られていた販域を全国区へ展開
74年同社常務就任:機械式はかりから電子式はかりへの転換にいち早く取り組み、成功。新製品を次々と発表。次いで85年よりプラザ合意後の円高を利用し、海外との交流を開始。海外優秀製品を日本市場へインプットし、吊り秤市場ではTOPのシェアを掌握した。
90年同社社長就任
以後、移動式計量機で産業界の物流システムに貢献した。
2016年代表取締役会長に就任
2021年代表取締役会長を退任

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