秤屋会長のひと言

千文字小説 ステルス型ミサイル


205x年、C国はD国に対して、衛星テレビを通じ、政府解体と武装解除を通告、一か月の猶予期間後、C国軍隊が進駐し、軍政を敷く旨、世界に向かって宣言した。この宣戦布告に対して、D国は直ちに抗議、国連安保理に提訴する。世界は第3次世界大戦の勃発に怯え、騒然となる。また、D国はかねての同盟国であるB国に相互防衛条約の発動を求める。B国は直ちに求めに応じ、大統領じきじきの声明が出され、C国に厳重な警告を発するという事態になる。

即時開かれた安保理では、核戦争にまで発展しそうな懸念のため、一週間以上にわたる論議が繰り返され紛糾する。交渉決裂寸前に出された常任理事国、F国の対案は画期的なものであり、全会一致で承認された。



地球上での核戦争は人類の生存に破滅的であるため、宇宙戦争に切り替え、月の周回軌道上で、C国および、B国の所有する大量破壊兵器であるすべての、核ミサイルを打ち上げさせ、それぞれ、C国および、B国の邀撃ミサイルが敵国の核ミサイルを打ち落とすことにする。そして最終的に打ち落とされず残った核ミサイルの所有国の意思に従うという採決である。従わない場合は言うまでもなく生き残った核ミサイルが相手国に打ち込まれるということになる。



そして、205x年9月、ついに、両国の核ミサイルは月周回軌道に発射され、それに対して、待ち構えていた邀撃ミサイルが容赦なく襲い掛かかる。人類始まって以来の宇宙戦争に全世界の注目が集まった。国連軍が事前に放った監視衛星の画像が全世界に中継されるなか、核弾頭付きロケットが次々と破壊され、月表面には無数の連続する爆発に覆われ、ほとんど、月としての形状なさなくなり、漠煙におおわれてしまった。そしてついに、3日後、両国の邀撃ミサイルは撃ちつくされた。C国の核ミサイルは全滅し、周回軌道に残るミサイル数十機はB国のものばかりとなる。

ここで、勝負あったと国連安保理はC国に対して進駐宣言の撤回を命じる。C国もこれを承認した。しかしその直後、どうしたことか、B国の核ミサイルのすべてが突如、破壊され消滅してしまった。C国は訳のわからないまま、状況が、一挙に逆転したことを認識、再び、外交攻勢をかけ始めた。B国は原因不明の自爆に驚きうろたえるばかりで、次の手が打てない。予備の核ミサイルもない。国連安保理は一応、核戦争はまぬかれたとして一息ついたが、新しい事態の収拾に困惑していた。そこへ突如、監視衛星からの映像が、全世界に流れ始める。画像は、実写ではなく、アニメであった。現れた白衣の科学者は、にこりともせず人差し指を天に指し、我々はステルス型ミサイルを持って、宇宙戦争の終結を待ち、残った核ミサイルのすべてを打ち落とした。我々としては何も要求するつもりはない。この紛争を終わらせればよい。今後もこのような愚かな試みがなされる場合は我々の存在を意識した方が良い。必ずしも今回のような解決方法を取るとは限らない。といって消えていった。   終わり




35年生まれの戦前派。早稲田大学政経学部で経済学を専攻。

略歴
60年中日新聞社入社。
67年(株)守隨本社入社。三県下に限られていた販域を全国区へ展開
74年同社常務就任:機械式はかりから電子式はかりへの転換にいち早く取り組み、成功。新製品を次々と発表。次いで85年よりプラザ合意後の円高を利用し、海外との交流を開始。海外優秀製品を日本市場へインプットし、吊り秤市場ではTOPのシェアを掌握した。
90年同社社長就任
以後、移動式計量機で産業界の物流システムに貢献した。
2016年代表取締役会長に就任
2021年代表取締役会長を退任

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