秤屋会長のひと言

金融資本主義の崩壊6


前回より、1ヶ月が経ちました。劇的な変化を経済の世界で経験しつつあります。もはやこの問題に関して、経済学者でもない私がとやかく言うところのものではありません。トヨタが赤字企業に転落など前回でも思っておりませんでした。1千400億円の赤字となるとこれは大変です。地域社会に及ぼす影響は計り知れないものがあります。



これからは身近なところでのいろいろな現象を書いてみたいと考えます。とにかく100年来の経済危機というキーワードがいたるところで目に付きます。関西系の自動車会社から発注を受けて製作中のはかりについて、製作進行をとめてくれという連絡が入ったのが12月の中旬です。この頃からわが業界の実態悪が表面化、目に付くようになってきました。見積もり段階での商談が、次々とキャンセルとなり、わが社にも大津波が襲ってきている状況です。有名度の高い企業ほど変わり身が早いというか、従来では考えられなかったスピードで決断をおろしてきております。売り上げのカーブは、12月を境に、それまでのお椀形からL型になりそうです。



ただこれまでの不況と違うところは、日本の企業は一足先に、10年も前に、自家中毒的に、大きなバブルの破綻と大不況を経験いたしております。これが大手企業の異例とも思える、スピード決断を付けられる理由なのですが、ただ大手だけではなく、その破綻を潜り抜けて来た日本の企業は、押しなべて、冷静です。これが救いです。わが社もその当時、未曾有の経験に戸惑っており対処に時間がかかり相当な損失を経験いたしております。今回は、違います。どこまで、落ち込んだら、どうするというような対策が瞬時に樹立でき、時を移さず実施できます。初めて経験する、欧州、アメリカ、新興国は胃潰瘍患者が激増していることでしょう。アメリカは1929年代に経験しているといっても今の現役はその当時生まれておりません。何の役にも経ちません。勿論経済環境も当時のことはほとんど参考ににもならない。



僅か10年前に経験した日本の実績がとんだところでお役に立っているようであります。各国金融関係の世界連携も、日本の実績から議論が分かれることもなくあっという間に合意に達しております。日本の経験がなければ、暗中模索と疑心暗鬼で20ヵ国が簡単にまとまる訳がありません。それが会合を開いた時にはすでに答えはできており確認しただけのように思えます。また、金融危機に見舞われつつある国に対して、麻生総理の10兆円のIMF寄託など鮮やかな手腕を見せております。日本の大先輩?としての存在感が際だった瞬間です。



アメリカのビッグスリーの救済策は上院で否決されましたが、あっさりと、大統領預かりという形で救済されつつあります。アメリカの面子からか上院は否決のポーズをつけて世界を納得させようとしているわけです。民間企業を税金で助けようなどとは資本主義社会ではタブーです。国家管理が原則の共産主義社会と同じことになりますからもっとも忌むべき決断であります。日本で例えば、トヨタ、日産、ホンダを国家が税金で救うのと同じことをしている。納得いきませんね。それでも、マスコミも何もいいません。政財界もむしろ歓迎ですか?



この事態は、これまでの、金融資本主義の崩壊の象徴となるのではないでしょうか。その墓碑銘にはビッグスリーのイニシャルが刻まれることでしょう。




35年生まれの戦前派。早稲田大学政経学部で経済学を専攻。

略歴
60年中日新聞社入社。
67年(株)守隨本社入社。三県下に限られていた販域を全国区へ展開
74年同社常務就任:機械式はかりから電子式はかりへの転換にいち早く取り組み、成功。新製品を次々と発表。次いで85年よりプラザ合意後の円高を利用し、海外との交流を開始。海外優秀製品を日本市場へインプットし、吊り秤市場ではTOPのシェアを掌握した。
90年同社社長就任
以後、移動式計量機で産業界の物流システムに貢献した。
2016年代表取締役会長に就任
2021年代表取締役会長を退任

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