ある不思議な体験(2011年12月20日)
1994年7月、私は不思議な体験をいたしました。私と韓国でのエージエントをしてもらっている在日の韓国人と午後、金浦空港につき、出迎えの車に乗り、ソウル市内へと向かいました。好天気のなか高速道路を快調に走り社内では久しぶりとのことで話が弾んでおりました。
しばらく走っていると、後ろから20台ぐらいの白バイがわれわれの車を追い抜いて猛速で突っ走っていきます。なんや白バイの訓練パレードでも始まったんかいなと見るともなしに見ていたのですが、ふと隣の同行者を見ると、顔色が変わっているではありませんか。どうしたのと問いましたが出てきた言葉がなんと“戦争が始まったみたいだという”今度はこちらの顔色が変わる番になりました。“冗談やないでどことや?”というと、車の運転手と韓国語で激しいやり取りと、あわててラジオを入れるなど、ただ事ではない形勢となってきました。その間の説明によると、白バイが高速道路の出入り口を封鎖するために配置につこうとしている。これはすなわち北との交戦が始まったあかしだという。
かつて台湾に行ったときやはり有事の際、高速道路は戦闘機の不時着の際の滑走路になると聞いておりましたので、ずしんと効きました。高速道路をよく見ると真ん中の境界障害物がありません。明らかに機翼の長さを計算に入れた設計になっている。私も思わず腰が浮いてきました。なぜこの時期に戦争が始まらなければならないのか!
しばらくするとようやくラジオが特別ニュースを流し始めました。私には何を言っているのかわかりませんがアナウンサーの声も大きく異常な状態を伝えております。音楽番組など一切中止です。同行者はしばらく耳を傾け運転手と会話ののち、北朝鮮の金日成将軍が本日、死去したということがわかったということでした。“なんだ戦争じゃないではないか!”というと、“韓国軍は臨戦態勢を発令している”こういう時期に戦争を仕掛けてくる可能性は大きく絶対に油断はできないという“平和ボケの日本人にはよくわからない”と冷やかし気味に言ったら、“私は、朝鮮戦争の生き残りだ。万一始まったとなれば、ソウルは火の海だ”。それじゃ、命の保証はないのかというと黙ってしまった。
つづく