秤屋会長のひと言

U字型スケール出世物語 その3

特配にしようと決めたのは営業でも担当者と私の2名ぐらいで、出だしのつまずきに、ベテラン社員から「こんなちんけなインチキくさい商品など売れるか。」といったような気配を感じつつ、まじかに迫っていた金城埠頭での展示会に出品しようという事になりました。


入荷の段階では、まだ商品の価格もネーミングも決まらず、したがってカタログもないという体たらく。どうもU字型はかりではアピールしないのは明らか。2~3日かけて沈思黙考。その挙句、U字型をヒントに「馬の蹄鉄に似ているな、競馬が国技のイングランド、そうだ、ダービーか!」ということになりました。これもちょっと不謹慎ではないかという反対もありましたが、かの地では、競馬は日本人が考えているような博奕―やくざのような世界ではありません。イングランド帝国を10世紀にわたって、支えた騎士団の重要な戦力としてのサラブレッド馬の育成のための競技でした。また、戦力を高めるために貴族同士が競い合っていた、神聖な使命を帯びていたものです。


30年ほど前の、6月某日、イギリス視察にでかけましたが、ちょうど、ロンドンについてホテルでテレビをつけてみたら、エリザベス女王臨席のもと、ダービーが開催される日でにぎやかな式典が始まっておりました。よく見ると、女王のみならずロイヤルフアミリー総出でお祭りといったシーンを偶然目にしたわけです。女王自身儀礼的な出席ではなく実に楽しそうで、はしゃいでいる?ようなご様子が非常に印象的でした。この時の印象ではダービーは国家行事でも最高クラスにランクするノルマン人独特の事業なのだと実感いたしました。日本でいうなら大相撲初場所でしょうか?



ネーミング「ダービー・・・上等ではないか!」となりました。「U字型はかりなどという舌を噛みそうな冴えないネーミングよ さようなら」です。
価格は台はかりの三分の一!軽量!ポータブル!
いかにも競馬を楽しむような気楽な使い方ができる。いらないときは押入れにといった日本人に受けるキャッチコピーができるなど、思いはエスカレートしていきました。(右の写真)当時のカタログ

続く。


35年生まれの戦前派。早稲田大学政経学部で経済学を専攻。

略歴
60年中日新聞社入社。
67年(株)守隨本社入社。三県下に限られていた販域を全国区へ展開
74年同社常務就任:機械式はかりから電子式はかりへの転換にいち早く取り組み、成功。新製品を次々と発表。次いで85年よりプラザ合意後の円高を利用し、海外との交流を開始。海外優秀製品を日本市場へインプットし、吊り秤市場ではTOPのシェアを掌握した。
90年同社社長就任
以後、移動式計量機で産業界の物流システムに貢献した。
2016年代表取締役会長に就任
2021年代表取締役会長を退任

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