秤屋会長のひと言

U字型はかり出世物語 その1

U字型はかり、欧米ではユーフレームと称しているらしいのですが、1970年代頃に開発されてから長いこと忘れ去れたはかりとして、はかり名鑑や総合カタログなどの片隅にひっそりと載せられておりました。


日本国内ではどこも大がかりに生産しているという気配は全くなく、レギュラー選手の荷物担ぎかグランドの草むしり係のような存在でありました。80年代、おそらく日本では正式なはかりとしては、だれもが意識の外にあったと思われます。
U字型で貧相なはかりは、計量機としての貫録に著しくかけており、取引証明用など社会的に権威付けが必要なはかりとしては、どうも躊躇されていたようないわば鬼っこみたいな存在でした。


実はわが社も90年代はじめまで、社員の認識度は国内と同レベルでありました。
しかし私としては、80年代からプロダクツ・コンセプトを”固定式はかり”から”移動式はかり”へキャンペーンとして打ち出し、マーキュリーなどフオークリフトスケール、ハンドパレットスケール、吊はかり等とすべてのプロダクツにコンセプトを浸透させ、最終的にはCIへと高めるビジョンを掲げて奮闘していた時期でした。

そしてある日、社員の一人が、偶然このU字型はかりを宣伝しているウエブサイトを見つけました。それはなんとイギリスのはかりメーカーでした。U字形の各先には車輪、U字形の底のところに取手がつけられており、取手を持ち上げれば2ヶ所にある車輪が地面に届き、全体を軽く動かすことができます。つまり「これも“移動式はかり”じゃないですか?」とアピールしてきたわけです。本人は大発見みたいに騒いでおりましたが、「そうか忘れていた。こういう秤もあったな。」ということになりました。移動式はかりのメーカーとしては見逃せません。

イギリスのメーカーに問い合わせを入れた所、想定よりはるかに安い価格でしたので、早速10台発注いたしました。これからは、古参社員の抵抗から、このU字型はかりがスターダムにのし上がっていく出世物語となります。(続く)


35年生まれの戦前派。早稲田大学政経学部で経済学を専攻。

略歴
60年中日新聞社入社。
67年(株)守隨本社入社。三県下に限られていた販域を全国区へ展開
74年同社常務就任:機械式はかりから電子式はかりへの転換にいち早く取り組み、成功。新製品を次々と発表。次いで85年よりプラザ合意後の円高を利用し、海外との交流を開始。海外優秀製品を日本市場へインプットし、吊り秤市場ではTOPのシェアを掌握した。
90年同社社長就任
以後、移動式計量機で産業界の物流システムに貢献した。
2016年代表取締役会長に就任
2021年代表取締役会長を退任

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