秤屋会長のひと言

私と易18

それが第3爻変の暗喩で示されております。


「その腰に留まる。」


つまり目的地にはつけない。
その挙句、強行すれば「その夤ー背の肉ーを裂く。」明らかにこの際の占的としてあてはめれば、伊藤公が重傷を負うか、命を失うかきわめて深刻な事態を予想させます。


こんな卦が出れば、高島師ならずとも判定は容易。そこで上述の会話となるわけです。


しかもさすがは高島易聖、引き止め不可能と悟ると、「このご旅行中、"艮"とか"山"とかというな名前の人物はおそばに近づけないよう。」「ありがとう、ご忠告を感謝いたします。」と言うようなやりとりがあったとのこと。


経過を申し上げると、明治42年10月14日、私邸を出発、16日門司港より大連に向かい18日到着。25日、長春到着、夜行でハルビンに向かい26日、朝9時に到着。プラットホームに降り立ちロシア側が出迎え、衛兵の閲兵、各国領事と挨拶を交わし、歩き始めた時、突然、一人の男が、伊藤公の前に飛び出し、至近距離から銃弾を6発発射、そのうち2発が命中、伊藤公は、30分後に絶命する。このテロリストの名前は、安重根。もちろん朝鮮人である。朝鮮では第1級の憂国の志士として英雄視されているが立場を変えれば、一国を代表する要人を暗殺したことは稀に見る非業であり、日本側からすれば、テロリストということになりましょう。朝鮮のオズワルド(ケネデイ大統領暗殺者)です。ここで、高島師のいう、名前の件ですが「安」の後の「重」は「重なる」という点で「艮」、つまり山が重なるという点で暗示的な共通性があり、艮と根の形態上の類似から、(根-木=艮)、易としては限られたフレーズの中で、精一杯の情報を伝えようとしているように感じられます。しかし残念ながら暗殺を防ぐことはできなかった。このことに関しては易が自らが現実世界に直接干渉することができない仕組みになっていることの限界を知るということになりましょうか。ただ私としては、後知恵かもしれませんが、一国を代表する要人がこんなに容易にテロの被害を被るなど易で予想できたのなら、普段以上の警戒をすべきではなかったかと思います。現在の要人に対する警護ぶりを見ていると、弾倉が空になる、6発も撃たれるなどあり得ないと思いますが。不用意に過ぎたと思います。当たったのは2発ですから。


敬愛やまない人物をやすやす失った、高島師の無念さはあまりあるものと思われます。


続く




35年生まれの戦前派。早稲田大学政経学部で経済学を専攻。

略歴
60年中日新聞社入社。
67年(株)守隨本社入社。三県下に限られていた販域を全国区へ展開
74年同社常務就任:機械式はかりから電子式はかりへの転換にいち早く取り組み、成功。新製品を次々と発表。次いで85年よりプラザ合意後の円高を利用し、海外との交流を開始。海外優秀製品を日本市場へインプットし、吊り秤市場ではTOPのシェアを掌握した。
90年同社社長就任
以後、移動式計量機で産業界の物流システムに貢献した。
2016年代表取締役会長に就任
2021年代表取締役会長を退任

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