秤屋会長のひと言

ヒット商品の作り方・・・テレビ連続小説を見て vol.3

開発までの苦労や技術開発について述べればそれだけで大きくスペースを取られ、また機械にあまり関心のない人には興味がないと思われますので割愛させていただきます。要するにわが社は幾多の技術的難題をクリアして成功いたしました。何社も失敗しただけに、それをクリアしたということは味噌業界中の話題になりました。なにが達成されたかということです。味噌の品質を保証するのは含有する塩成分がどれだけの精度のものであるかというところにあります。これまでどれだけ努力しても塩分の成分比のばらつきは±5%以上の精度は出せませんでした。しかしわが社の開発した機械は、なんと±0.5%と一桁上を行く精度が出ました。しかも自動化のおかげで、工程に要する時間も半減以下にちじまりました。これも大変な貢献です。


あまりにも改善のグレードが大きいため嘘だろうという筋も出てきました。この業界にはお目付け役みたいな研究機関があります。信州味噌研という。そこからの申し入れで、実際に調査してもらいましたところ、間違いないということになりました。我々は鼻高々です。なお味噌研から全国の味噌醸造メーカーを集めるから研究発表してもらいたいという騒ぎになりました。確か、申し入れの半年後の長野で発表会が開かれ、わが社の技術員は苦労も忘れ意気揚揚でした。ところがこれからがまんぷくラーメンと似たような状況に追い込まれます。まだこの段階では中心技術はマル秘になっていて結果だけが報じられていたわけです。


1社だけの成功ではまだ汎用性は証明できないというところで、次に熱心に導入を考えているメーカーさんから引き合いをもらいました。最初に入れたところは愛知県内でしたが次は九州南部のみその大量生産メーカーさんで、先のものを実験プラントとすると、今度のものは実証プラントということになります。大いに張り切り、受注準備に入りました。


スペックも金額も納期もきまりいざ受注という段階で待ったがかかりました。わが社と組んでいるプラントメーカーの競合のプラントメーカーが特許を持っているという。しかも仕様もほとんど同じという。だから貴社のものは使えないと言い出される。これ青天の霹靂以外の何物でもない。まだ公開もしていない独自の技術が他社へ流失しているのです。


35年生まれの戦前派。早稲田大学政経学部で経済学を専攻。

略歴
60年中日新聞社入社。
67年(株)守隨本社入社。三県下に限られていた販域を全国区へ展開
74年同社常務就任:機械式はかりから電子式はかりへの転換にいち早く取り組み、成功。新製品を次々と発表。次いで85年よりプラザ合意後の円高を利用し、海外との交流を開始。海外優秀製品を日本市場へインプットし、吊り秤市場ではTOPのシェアを掌握した。
90年同社社長就任
以後、移動式計量機で産業界の物流システムに貢献した。
2016年代表取締役会長に就任
2021年代表取締役会長を退任

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