秤屋会長のひと言

ヒット商品の作り方・・・テレビ連続小説を見て vol.6

やれやれとんでもないお邪魔虫だなと思いながら、思い出してみますと、このライバル社Bは九州地区に地盤を持っており、このお客様は大切な顧客であり、それを失うことは大打撃となるわけです。立場を替えれば一大事なことには変わりありません。しかし私たち側のプラントメーカーAさんは、4社もはかりメーカーを替えながら粘り強く目的を追求し、弊社と巡り合った。そこでようやく望みどおりの仕様の計量プラントに辿り着いたという執念ぶりは、満腹ラーメンさんと同じ技術屋精神で通底していると言えましょう。そのおかげで弊社も感謝されながら製品を納入できることになった訳です。しかしそれはともかく今後については当然波乱が予想されます。ライバル社Bは今回は間に合わなくても、この後については追いついてくる可能性もあります。先行権で弊社が表面に立つとしても、果たして黙って見ているかどうかは定かではありません。


今度はこちらが根性を見せる時です。実はこの塩コントロールシステムについては、当初、弊社は2案を持っておりました。今のシステムをXとしますと、Y案を同時に提案しておりました。それを忘れておりました。帰ってから、この後の協議でもう一度提案Yを詳細に説明いたしました。何故前回この案が早くに却下されたかというと、X案より2割程度コストが上がるという点であまり深く検討されないまま棄案、「今はそんなことは言っていられない。何が何でもコストを下げて次の引き合いに備えなければ。」という事になりました。


1週間後、プラントメーカーAさんの会議室にて検討が始まりました。持参した組立図をもとにコスト削減の話をしようとしたところ、相手の技術屋さんが 図面を見ていきなり質問が飛んできました.「機械の総高はこのとおり1500mmに違いありませんか?」ということです。私が「問題ありません」と即答しましたら、「これは前のものより問題にならないぐらい素晴らしい案ですよ」と言うのと同時に「本当に大丈夫ですか?」と重ねて念を押す様な質問に、私は動じずに「勿論」と返事をいたしました。この時点で現場を知らない我々には技術屋さんが何故そこまで念を押して聞いているのか、どこがY案が素晴らしいのか、さっぱりわからないまま。


醸造業界の生命線はいろいろな原料(米。大豆、麦など)から芳醇な製品を生み出してくれる酵母菌にあります。いわば酵母菌は神からの授かりものとして各蔵元は命がけで守るという。またメーカーごとに種類が異なるらしい。それが風味に与える影響は決定的です。しかしその酵母菌は雑菌に弱く、仕込後の清掃が行き届かず雑菌がはびこり、酵母菌を弱らせたりすれば、発酵現象に悪影響を及ぼしできた製品の品質にダメージを及ぼすそうです。大変勉強になりました。お酒はもとより醤油味噌などすべて酵母菌さまさまというところらしい。


そこで何がこのY案が優れているのかというと、もうお分かりだと思いますが次の回で。




35年生まれの戦前派。早稲田大学政経学部で経済学を専攻。

略歴
60年中日新聞社入社。
67年(株)守隨本社入社。三県下に限られていた販域を全国区へ展開
74年同社常務就任:機械式はかりから電子式はかりへの転換にいち早く取り組み、成功。新製品を次々と発表。次いで85年よりプラザ合意後の円高を利用し、海外との交流を開始。海外優秀製品を日本市場へインプットし、吊り秤市場ではTOPのシェアを掌握した。
90年同社社長就任
以後、移動式計量機で産業界の物流システムに貢献した。
2016年代表取締役会長に就任
2021年代表取締役会長を退任

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